この秋リリースされた2Gは篠原一男の住宅作品集。
「世界的に品薄です」という本屋の巧みな言葉に背中を押されて購入しました。
全編新たに撮り直された写真が印象的で経年変化と住み手の生活感に負けない篠原建築の構成の強さを改めて認識します。
建築家は生活をテーマに仕事をしているのにもかかわらず、とかく生活臭を排除する方向に向かってしまうのですが、ミニマムなスタイルの篠原の仕事が、時間と共にこんなにやさしく展開しているとは正直、以外な感じがしました。ただ、谷川俊太郎の別荘だけが、不気味に竣工当時の内観を保っているのは、この建築が最初から廃墟として構想され、その始源の強さと廃墟性を維持することが、きっと施主の詩作活動に必要であったんだ、と勝手に想像しました。
2011年11月1日