ダブリンを拠点に活躍する映画監督ジョン・カーニーの新作「はじまりのうた」を観ました。
「ONCE ダブリンの街角で」がヒットしたのが2006年。
今回はニューヨークを舞台に、失意の女性シンガーソングライターとお金の無い音楽プロデューサーは、エンパイアステートビル、セントラルパーク、地下鉄のホームと移動しながらのゲリラ的な屋外レコーディングを敢行。街の音、ざわめき、風のそよぎ、人々の声。すべてが音楽の一部になり、小さな奇跡を起こしながら心温まる一枚のデモ・アルバムが製作されていきます。
フィールド・レコーディングで思い出したアルバム「Femmes artistes du lac Seb」を久しぶりに聞き返してみました。NGOアルタミラによって録音企画されたフィリピンのミンダナオ島セブ湖畔に住むティボリ族の女性たちの音楽で、ジョゼ・ピヴァンの名作「OPERA DU CAMEROUN」にも劣らない傑作盤。彼女たちの奏でる様々の民族楽器の音と風や川のせせらぎ、蛙や鳥といった自然の音とが対話するようにミックスされています。録音も良質で、匂い立つような美しい音々を聞いていると現地の気温や湿度まで伝わってきます。
2015年6月18日