Bach on Mandolin

 マンドリンは古楽器のリュートが進化した8弦4コースを持つ弦楽器で、バロック期から現在まで流行と衰退を繰り返しています。

 古くはヴィヴァルディやベートーベン、マーラーなどもマンドリン使用の楽曲を残しています。一方、アメリカに渡ったものは独自の改良が加えられ、20世紀初頭にギブソン社で開発されたフラット・マンドリンは主にカントリーやブルーグラスで使用されるようになりました。

 アメリカのブルーグラス・シーンで確固たる地位を築いていたChris Thileは、グレングールドのバッハ演奏にインスパイアされ、本来ヴァイオリン用に書かれた難曲をフラット・マンドリンで演奏することに挑みます。緩急を使い分けた超絶技巧の演奏はリュートやチェンバロのような雰囲気もあり、深い安堵感を持って聴くことが出来ます。